クワの実
4、50年ほど前、多くの家ではカイコを飼っていました。そのカイコが食べるのがクワの葉です。クワの木は畑に植えてありましたし、本当にいたるところにありました。ところが、今では、クワの木は、河原とか山とかに行って注意深く探(さが)さないと見つからないようになっています。
クワはなかなかおいしい実をつけます。それが理由なのか、幼稚園(ようちえん)や小学校には結構植えられています。写真は豊岡の八条小学校のクワの木です。
私は、この季節、散歩の途中(とちゅう)で円山川の河川敷(かせんじき)に寄ります。クワの実を食べるのが目的です。よく熟(じゅく)したクワの実は柔(やわ)らかくて、袋(ふくろ)に入れておくとすぐに形が崩(くず)れて腐(くさ)ってきます。私は家で食べるよりも少量をその場で楽しむのがよいと思っています。
クワの実は、はじめは白で、やがて赤くなって、最後は黒くなります。黒くなると食べごろです。黒といっても本当は非常に濃(こ)い紫(むらさき)色のようで、うっかりしていると口の周りが紫になってクワの実を食べたことがわかってしまいます。また、服につくと紫に染(そ)まってしまって、なかなか落ちません。