日本ではめったに観察できない、たいへん珍しいタカが豊岡市を通過してゆきました。アカアシチョウゲンボウというハヤブサ科のタカです。
中国大陸北東部が繁殖地で、越冬地はなんと南アフリカのサバンナ地帯だそうです。南アフリカへの旅の途中に日本列島に迷いこみ、豊岡市の上空を通って行ったということです。
体の特徴は、名前のとおり、足が赤いことです。赤といってもダイダイ色です。くちばしの付け根と目のまわりもダイダイ色です。今回観察した個体は若いメスと思われました。
飛んだところを下から見ると、全体に白っぽく、翼の後ろの縁に沿って黒い帯になっているのがわかります。飛んでいるときでも足のダイダイ色がよく目立ちますね。とてもカッコいいタカでした。
こういう珍しい鳥が現れると、全国からカメラを持った人たちがやってきて大騒ぎになりますが、アカアシチョウゲンボウは同じ場所に長く滞在することはありません。豊岡での観察もたった数時間だけでした。あっというまに次の中継地へ飛んで行ったようです。今回、たまたま出会えたのはとてもラッキーなことでした。
その後、長崎や鹿児島などからアカアシチョウゲンボウの観察記録が出ましたので、同じ個体かどうかは不明ですが、日本列島を西に駆け抜けて行ったのかなと想像しています。海を渡り、南アフリカまでのアカアシチョウゲンボウの旅はまだまだ続いているのでしょう。
文・写真 コウノトリ市民研究所 高橋 信