めずらしい鳥の話が続きましたので、今回は、だれでも、どこでも、望遠鏡(ぼうえんきょう)や双眼鏡(そうがんきょう)がなくても観察できるカモの話をしましょう。
豊岡盆地の東を流れる六方川は、カモ観察に適した場所のひとつです。橋の上からはもちろん、なれてくると車で走りながらでもひとめで名前がわかるようになります。
鳥は人が近づくと飛んで逃げます。はなれて観察すると鳥が小さくてわかりません。鳥の羽の色やくちばしの色はさまざまですから、その特徴(とくちょう)さえ覚えてしまえば、遠くからのでも鳥の名前が分かるようになります。カモの観察は、その手はじめにはもってこいです。
離れて観察しているつもりで、アップの写真ではなくて、わざと小さく写った写真で説明しましょう。一番最初に見るポイントを矢印で示しています。そうです、まず頭を見ましょう。
<マガモ>
マガモは頭が緑色で、くちばしが黄色です。これに似たカモはほかにいませんので、マガモはすぐにわかります。ただし、これはオスだけの話です。カモのメスはどれも似たような茶色の羽をしていますのでむずかしいです。オスとならんで泳いでいることが多いので、メスの特徴もつかんでみてください。
<カルガモ>
カルガモは1年中見られるカモです。田んぼにもよく入ります。オスもメスも同じ色をしていてめだちません。ほかのカモのメスとまちがえるかもしれません。でもここさえ見れば一発でカルガモとわかります。くちばしの先の黄色です。このワンポイントに気づいてください。
<コガモ>
コガモは一番分かりやすいカモかも。小さいカモだからコガモです。「ピッピッ」と笛(ふえ)をふくように鳴きますので、声だけでもわかります。オスの頭は茶色で目のまわりが緑色です。六方川でもたくさんのコガモが見られます。
<ヒドリガモ>
上の3つのカモほどおなじみではないかもしれませんが、ヒドリガモもめずらしいカモではありません。特に海に近い水辺に多く見られます。茶色の頭の中央に太いクリーム色のラインが入っています。こんな色のカモはほかにはいません。鳴き声も特徴的で、「ピュ~ン」といった風に聞こえます。
さて、このヒドリガモの群れ中に、別のカモが2羽いますね。何でしょうか? 上でおぼえた「マガモ」とすぐに答えが出たひとは、もう一人前のバードウォッチャーです。
でも、ちょっとまてよ、「マガモ」にしてはちょっとおかしいぞ、何より、やけにでかいぞ。そう思ったひとはたぶん鳥観察のベテランです。
上の説明でマガモに似たカモはほかにいないと書きましたが、実はとってもよく似たのがいるのです。そっくりなので、ベテランでもよくまちがえます。この大きなマガモみたいなカモ、アヒルなのです。白いアヒルは有名ですが、マガモそっくりのアヒルもいるのです。アヒルはニワトリと同じように、人が飼って利用する鳥です。そんな鳥が逃げ出して野生化しています。マガモは近寄ると飛びたちますが、よく似たアヒルは飛ぶことができませんので、そこでも区別することができます。
さて、水辺にでかけたら、4つのカモの名前をぜひ思い出してください。4つのカモがわかれば、それとはちがうカモがいるのも分かるでしょう。さっそく図鑑で調べてみましょう。そうして、ひとつずつ鳥の名前を覚えてゆくのです。
写真・文 コウノトリ市民研究所 高橋 信