だんだんタイトルがエスカレートしてきました(笑)
このコラムを書いていて、実はタイトルを考えるのが一番楽しいのです。
まあ、そんなことはさておき、これが、ちょんまげネコです。
ちょんまげはすぐに分かりますね。頭のてっぺんに、長い毛が立っています。この鳥はチドリの仲間で、名前はタゲリといいます。大きさはハトくらい。但馬の田んぼには秋にやってきて、ひと冬ここで過ごしたあと、春先にはシベリア方面に帰ってゆく渡り鳥です。
みなさんはウミネコを知っていますか? 冬の港に行くとたくさん群れているカモメの仲間で、ネコのように「ミャー」とか「ミュー」とか鳴きます。
このタゲリ、ウミネコによく似たネコのような鳴き声をしています。ウミネコはいつもうるさく鳴いて騒ぎますが、タゲリは飛び立つときにちょこっと鳴くくらいですので、声に気づく人は少ないかも知れません。
タゲリは群れで行動します。冬の田んぼ、特に湿った田んぼや浅い水辺で見かけます。ほかに似た鳥はいませんので、ちょんまげを見ただけですぐにタゲリとわかります。
「ミャー」とひと鳴きして群れが飛び立つと、しばらくあたりをフワフワとやわらかく飛びます。でも、そのまま観察していると、群れ全体が突然反転したり、急降下(きゅうこうか)したりと、いろんな飛び方をするのが分かります。
これは、天敵(てんてき)のハヤブサなどの目をくらませて、身を守るための行動といわれています。タゲリの群れが飛ぶ様子はとてもおもしろいですので、田んぼで見かけたら注意して観察してみましょう。
タゲリは湿った土の中にいる虫を食べて暮らします。タゲリがエサを食べている田んぼは、土が肥(こ)えていて生き物がたくさんいる。そこからは、きっとおいしいお米ができるにちがいありません。
3月になると、タゲリは北に向かって移動を始めます。この写真は3月のタゲリです。このころになると、喉(のど)から顔にかけて黒い色が多くなります。また、頭の毛もさらに長くりっぱになります。
あと一ヶ月ほどはタゲリの姿を見ることができます。田んぼからタゲリが姿を消すころ、但馬に春の足音がいよいよ近くなります。
写真・文 コウノトリ市民研究所 高橋 信