2010年にまた近畿圏一斉タンポポ調査が行われます。今回は近畿だけでなく近隣の県も参加する予定になっています。
兵庫県だけ1年前倒しで、2008年、2009年に実施します。ということで、今年はタンポポ調査のプレ調査年でした。でも、アナウンスが不十分で参加者が多くありませんでした。来年の本実施に向けてタンポポの見分け方について書いておきます。
2008年は、雪が多くタンポポの開花が少し遅れました。ところが4月末に気温が30度を越えてしまい在来タンポポは一気に綿毛になってしまいました。標高の高いところをのぞくと実質1ヶ月間の調査可能期間でした。5月も中頃を過ぎると開花しているのは全て外来タンポポということになりそうです。
2009年は、3月末から在来タンポポを調べてほしいと思います。
在来タンポポというのは、
カンサイタンポポ
ヤマザトタンポポ
クシバタンポポ
シロバナタンポポ
キビシロタンポポ
です。
写真を見てください。5つの花がありますね。
左 上;カンサイタンポポ
左 下;ヤマザトタンポポ
中央上;外来タンポポ
中央下;クシバタンポポ
右 ;シロバナタンポポ
です。
色の違いが分かりますか?
写真では微妙ですが、野外では、明らかに左側が薄く見えます。中央を黄色とすると左はレモン色です。花びらが白色、薄黄色(レモン色)のものは在来タンポポです。
次は大きさです。
花の大きさは、おおよそ花びらの数(本当はこれが一つの花;だから種子の数にもなる)の数で決まります。花びらが多いと花が大きくなります。
左上のカンサイタンポポが明らかに小さいですね。カンサイタンポポは大きさがほぼ一定しています。写真のヤマザトタンポポは小さい方です。大きなものはこの1.5倍くらいにもなります。外来タンポポは、非常に小さいものから非常に大きいものまであります。
下は花びらと総ほう外片の写真です。
左から、カンサイタンポポ、ヤマザトタンポポ、クシバタンポポ、シロバナタンポポです。カンサイタンポポはどちらも際だって小さいですね。
カンサイタンポポが少ないというのがどうやら但馬の特徴のようです。夜久野峠、登尾峠を越えるとそこはもうカンサイタンポポの楽園です。これらの峠を越えるとタンポポが旧国境を知るわけがないのになぜ? といつも不思議な気持ちがします。
2009年の調査では、さらに細かく生育場所を特定したいと思っています。
2008年現在で確実なのは、
竹野町切浜~豊岡市田結の間の海岸線
但東町の京都府との県境付近
山東町の京都府との県境付近
和田山町の京都府との県境付近
生野町栃原周辺
です。
薄黄色(レモン色)のタンポポを見つけたら、花びらと総ほう外片を測ってみてください。 カンサイタンポポなら
花びら 長さ;15mm前後
総ほう外片 長さ;6~7mm 幅;3mm前後です。これより明らかに大きければヤマザトタンポポです。
ヤマザトタンポポは、但馬の至る所にあることが分かっています。
クシバタンポポは、分布の傾向が分かっていません。
黄色の大きなタンポポがあったら裏返してみてください。総ほう外片がくっついていたらまず間違いなくこのタンポポです。総ほう外片は、先がとがった卵形です。葉は写真のような特徴的な姿をしています。
まだ数例ですが、普通のタンポポのような葉をしているものも見つかっています。これは将来、クシバタンポポとは区別されるかも知れません。
わずかに黄色を帯びた白いタンポポがあれば、おそらくキビシロタンポポです。
シロバナタンポポも同じような色に見えることがあります。でもそれは花びらの色ではなく白い花びらに花粉が落ちて黄色に染まったものです。注意深く見ると区別できます。キビシロタンポポは、シロバナタンポポに比べると開花時期が遅く、背が高くなりにくい傾向があります。少し弱々しく繊細な感じです。
2008年の調査で、新たに豊岡市で確認されました。これで新温泉町、香美町、朝来市、豊岡市で確認されたことになります。養父市にもありそうですね。
やっかいなことにキビシロタンポポには、純白に近いものもあります。
2009年のタンポポ調査に参加したいという方は連絡をお待ちしています。