「アカエリヒレアシシギ」
さあ、これを声に出して3回くりかえしてください。舌(した)がもつれてしまいそうな名前ですね。
これがアカエリヒレアシシギです。六方田んぼの牧草(ぼくそう)をかリとった後の水たまりに3羽いました。ちょうど大きさはツバメくらい。人をあまりこわがりません。
アカエリヒレアシシギは日本では春と秋の渡りの時期に見られます。本来、海の上を移動してゆきますので、田んぼの水たまりで観察するのは珍しいことです。
さて名前の秘密にせまりましょう。この写真は春の渡りで観察したアカエリヒレアシシギです。別の種類の鳥かと思うほど、色が違いますね。一般的に、鳥は春になるとこのようなきれいな羽根に変わります。
どうです、これをみれば「アカエリ=赤いえり」がすぐにわかるでしょう。
次にヒレアシです。最初の写真と同じときのアップの写真です。上げた足の形。少しわかりにくいですが、ヒレのようになっています。
海で暮らすこのシギは、泳いだりもぐったりするために都合(つごう)のいいように、足をヒレの形に変えてしまいました。
シベリアで生まれたアカエリヒレアシシギ。冬を過ごす東南アジアの国への旅の途中、六方田んぼに立ち寄りました。こんな珍しい鳥の名前を覚えることはありません。ただ、人知れず、いろんな鳥が豊岡盆地の上を渡っていて、少しの湿地さえあれば羽を休めにおりてくるという事実は、知っていて損(そん)はありません。
写真・文 コウノトリ市民研究所 高橋 信)