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ケリケリケリのケリ

田んぼで「ケリケリケリ」とけたたましい声を耳にする季節になりました。正体はチドリ科の鳥ケリです。サギと並んで、これから夏にかけて、田んぼで一番目立つ野鳥と言ってもよいでしょう。
ケリが六方田んぼで繁殖しはじめて、実はそれほど時間が経っていません。但馬野鳥の会の記録によれば、1988年に六方田んぼで初めての繁殖が確認されたとのことですから、ここ20年ほどの話です。

もともとケリは本州の太平洋側に多い野鳥で、但馬へは春先にやってきます。短い距離を移動する漂鳥と呼ばれるグループの一員です。多くは冬になると南に移動しますが、少数は但馬でも越冬しています。
ケリの繁殖は田んぼが本格的に始まるまでの短い期間に集中します。人が田んぼに入るまでに大急ぎでヒナをかえさなければなりません。春先の繁殖期は、ペアをめぐって仲間同士が争う場面をよく見かけます。

ケリは気性の荒い鳥で、繁殖地に侵入するほかの鳥を激しく攻撃します。この写真は渡り途中のタゲリを警戒しているところです。ちなみに、このタゲリは喉から顔にかけて黒く羽根が生え変わった夏羽の個体です。

4月中旬になると、田んぼのあちこちでケリのヒナが見られるようになります。この頃の親鳥は最も神経質になっていて、ヒナに近づくものには容赦のない攻撃をしかけてきます。人間にも向かってきます。
ケリは巣らしきものを作らず、畦のくぼみに直接卵を産みます。ヒナは生まれるとすぐに歩きだして、自分で餌を採ります。親鳥は餌を与えない代わりに、必至にヒナを守ろうとします。それが強い攻撃性のゆえんなのです。
写真・文 コウノトリ市民研究所 高橋 信

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