セイタカシギは春の渡り鳥の中で、もっとも華のある鳥のひとつです。鮮やかな赤で長く伸びた足が最大の魅力です。
春のセイタカシギの飛来は、ここ数年で増え続けています。10年ほど前には珍鳥と呼ばれていた鳥ですが、今ではすっかりおなじみの鳥になってきました。今年の春は特に観察例が多く、最大で9羽の群れを見ました。
オグロシギです。飛来数は少なく、春は赤い姿が美しい中型のシギです。この個体は、伊豆地区の湛水田で数日過ごしました。
警戒心が弱く、じっとしているとどんどん近くに寄ってきました。長く太いくちばしを泥の中に突っ込んでは、水中の虫を捕まえていました。
とても珍しいシギと出会いました。コシャクシギです。国の絶滅危惧種に指定される希少種です。くちばしがしゃくれたシギには、ほかにホウロクシギ、ダイシャクシギ、チュウシャクシギがいますが、コシャクシギはこのグループの中で一番小型です。
豊岡盆地ではチュウシャクシギ、ホウロクシギの飛来は時々ありますが、コシャクシギはおそらく初めての観察となるでしょう。兵庫県でも珍しい記録になると思います。
コシャクシギと同じエリアで、こんどはツバメチドリを見つけました。これまた絶滅危惧種です。豊岡盆地での観察も長らく途絶えていましたので、珍しい鳥の久しぶりの飛来となりました。
ツバメチドリはほかのチドリとは違った習性を持っています。くちばしは横に大きく裂けています。細長い翼で高速に旋回する様子もツバメのようです。高速飛行を安定化するために、尾羽の構造もツバメと同じような、いわゆる燕尾(えんび)型をしています。
地上でも虫を捕まえますが、ツバメがやるのと同じように、ツバメチドリは飛びながら大口をあけて、空中の虫を網ですくうようにして食べるのです。まるでツバメのようなチドリがいるなんて、おもしろいですね。
この春は次々に、珍しいシギ・チドリが豊岡盆地にやってきました。コウノトリ育む農法がめざす生物多様性の証の一つになります。
写真・文 コウノトリ市民研究所 高橋 信