2005年に始まったコウノトリ放鳥事業。コウノトリの餌場を確保するために、冬の間も田んぼに水を張っておく冬季湛水(とうきたんすい)が六方田んぼを中心に広まりました。冬の田んぼに水を張れば水鳥が集まってきます。今まで通り過ぎるだけだったコハクチョウも、六方田んぼで越冬するようになりました。
今シーズンのコハクチョウの最初の2羽は、11月17日夕刻に巣塔のある百合地湛水田に飛来しました。
12月11日には2羽増えた4羽の群れを観察しました。
12月23日には六方田んぼの南の伊豆地区湛水田で10羽のコハクチョウを確認しました。
4羽はすぐに去って、6羽のグループが年を越しました。水田の二番穂や、土の中からクログワイの球根を掘り起こして食べます。
2011年の年明けは大雪となりましたが、寒波とともにコハクチョウの北からの移動が続いています。2羽が新に加わりましたが、そのうちの1羽がコハクチョウの亜種で希少種のアメリカコハクチョウでした。写真の左端に写っている、くちばしの黒い白鳥がアメリカコハクチョウです。六方田んぼには初めての飛来です。
オオハクチョウも飛来したようです。北の越冬地が雪で餌がとれなくなると、白鳥たちは餌を求めて南下してきます。豊岡盆地の円山川と冬季湛水田は、餌を求めてさまよう白鳥たちの新たな冬のオアシスを提供しています。ここが雪で閉ざされて餌がとれなくなれば、白鳥はさらに西へ南へと移動してゆくのです。
写真・文 コウノトリ市民研究所 高橋 信