大雪が降り、大地がすっかり雪に覆われてしまうと、鳥たちは餌場をもとめてそれまでにない行動を見せるようになります。できるだけ人間との接触をしないように暮らしていた鳥も、餌のためならそうは言っておられません。
人家の近くの雪のない場所には、餌を求めて鳥が集まってきます。ヤマシギが出てきたのもそんな場所でした。
ヤマシギは但馬では冬鳥とされていますが、その名のとおり、普段は山の中で暮らしているので見かけることがありません。大きさはハトくらいで、シギのなかでは大型に属します。
羽根の模様は、まさに枯葉そのものであり、身を低くして落ち葉の大地に伏していれば、まず天敵などに気づかれることはありません。
もっとも特徴的なのは、頭の上のストライプ模様です。ヤマシギの一番の識別ポイントとなります。
ヤマシギは普段は山の地面を長いくちばしで掘って、土の中のミミズや虫を餌にしています。今回の観察では、雪の積もっていない湿地の泥の中にくちばしを入れて、虫を探していました。
多くのシギに共通的な体の特徴として、目が顔の後ろの方に寄っていることがあります。ヤマシギは極端に目が後ろに寄っています。地面を掘って餌を探しているときも、背後にせまる危険をいち早く察知するために進化したものです。
ヤマシギは兵庫県RDBでBランクの希少種。フランス料理では最高級のジビエ(野性肉)とのこと。世界的に乱獲のために数を減らしている種のひとつ。
写真・文 コウノトリ市民研究所 高橋 信