初夏の季節を迎えましたが、珍しい冬鳥の記録を残しておくことにします。
ヤマヒバリという鳥です。スズメくらいの大きさで、羽根の色はホオジロに少し似ています。ヤマヒバリはイワヒバリ科の鳥で、シベリアの高地で暮らしています。
冬は越冬のために南下しますが、中国北部や朝鮮半島が主な越冬地となっています。日本にはまれな冬鳥として、主に日本海の離島などに飛来します。
めったに見ることのできないヤマヒバリですが、この冬は六方田んぼでの越冬が確認できました。1月初旬に用水路周辺で2羽の飛来が観察されました。1月終盤から2月にかけての大雪で、多くの鳥がエサを求めて移動してゆきましたが、ヤマヒバリは用水路を餌場にしたまま留まり続けました。
羽根の色は決して派手ではありませんが、眉斑(びはん)と呼ぶ目の上の太いラインがよく目立ちます。
用水路の垂直のコンクリート壁は大雪でも雪が付かず、生えているコケの中から虫を探して食べている様子でした。
2月の大雪の後に観察したときの写真です。冷え込んだ朝で、着氷した木の枝に出てきて「チリリリ」と特徴的な声で鳴くのを聞きました。
当初2羽いたヤマヒバリは、その後、1羽の行方が不明となりました。たぶんモズか何かに捕食されたのではないかと思っています。2月の終わりまで1羽が断続的に観察され、その後はフォローしませんでしたが、六方田んぼで越冬したことは確かです。
大雪で観察エリアが限定され、たまたまそこに珍鳥が入ったことで継続観察が可能になった事例です。大雪だからこそ見ることができたヤマヒバリでした。
写真・文 コウノトリ市民研究所 高橋 信