コウノトリの郷公園で里山の観察会をしました。
その時に見たシカに関わる植物の話です。
スタート地点です。コウノトリ文化館の南側です。
ススキの中に違う植物があるのが分かりますね。ダンドボロギクという植物です。数年前までは、この植物はここにはありませんでした。
ダンドボロギクは、裸地に生えます。多くの場合、人間が表土をはぎ取った場所に真っ先に生えてきます。そして数年すると完全に姿を消します。この場所の場合、シカによって裸地ができ、ダンドボロギクが生えました。ススキはシカに食べられながらもまだ頑張っていますが、この地に生えていたホタルブクロやヤマホタルブクロはほぼ姿を消しました。
ダンドボロギクはこれからどんどん広がっていくと思われます。なぜならば、裸地が広がる上に、ダンドボロギクは毒になる硝酸カリウムという物質をたくさん含んでいるシカの忌避(きひ)植物だからです。
公開ゲージの隣には、サンショウがありました。においがきついので食べていないのでしょう。しかしシカの密度が高くなると近い仲間のカラスザンショウが食べられている例もありますから安泰とは言えないでしょう。
少し行くと芝生の斜面があります。そこにイグサが生えていました。この植物もシカに好まれないようです。
芝生の終わり際、山との際には、イワヒメワラビがたくさん生えています。郷公園ができた10年前にはこの場所では全く見られませんでした。イワヒメワラビはシカの忌避植物として最も有名なものの一つです。
谷をイワヒメワラビが埋め尽くしています。ここは年々群落が広がっています。
新芽はワラビみたいですね。
葉です。
葉の裏には、こんなふうに胞子がついています。
林床に植物がほとんどありません。残っているのはシカの好まない植物です。
テンナンショウ(マムシグサ)の仲間です。有毒で有名です。
アセビです。馬酔木という名前から分かるように有毒です。
背の低い木は全てアセビです。着実に広がっているようです。
2011年は大雪でした。そのためにオオイワカガミも葉を食べられてしまったようです。食べられた後で葉を出してきたのでしょう。まだオオイワカガミという感じのしない小さな葉でした。
シカは、リョウブの皮が好きなようです。見事にはぎ取っています。
はぎ取られて再生して、また違う場所をはぎ取られて・・・・と繰り返されたあとです。痛々しい姿です。枯死する個体があっても不思議ではありません。