秋に北から渡ってきた陸鳥は、餌が採れるうちは山の中で過ごすのが普通です。虫や木の実が少なくなり、山に雪が降りだすと、山の鳥たちも新たな餌場を求めて平地におりてきます。
ところが、今年はそんな冬鳥たちの姿がえらく少ないのです。まだ山にいっぱい餌があるのでしょうか。それとも山にも渡ってきていないのでしょうか。12月も後半になっても、田んぼでツグミの姿を見かけません。
小鳥を餌にする猛禽類も、そんな事情もあってか、なかなか姿を現すことがありません。ようやく円山川河川敷で、パトロール飛行中のハイタカを見つけました。
同じ日の夕刻、支流の六方川中流域で、電線に止まるハイタカに出会いました。夕食を終えたところのようで、胸を大きくふくらませて、近くに寄ってもなかなか逃げようとしませんでした。餌食になったのはスズメでしょうか。
雨の田んぼでもハイタカに出会いました。このときも食事の後のようで、まったりと時間を過ごしていました。
やがて広域農道の電柱の上に飛んで、しばらく休憩したあと、雨の中に消えて行きました。
平地に冬鳥が集まり、その冬鳥を食べる猛禽が集まり、冬の豊岡盆地の自然が営まれてゆきます。冬がさらに本格化すると、そんないつもの姿になってゆくのでしょうか。
写真・文 コウノトリ市民研究所 高橋 信