野や山で小さなイチゴみたいな実をつけた植物があれば、それはヘビイチゴの仲間です。但馬には、ヘビイチゴとヤブヘビイチゴが生育しています。
よく似た名前のオヘビイチゴやヒメヘビイチゴも但馬には生育しますが、それらはイチゴのような赤い実をつけません。
ヘビイチゴ
ヘビイチゴは、ヤブヘビイチゴに比べると小型です。3枚ある中の真ん中の葉の形は、ヘビイチゴは広卵形で、ヤブヘビイチゴは菱形状の長楕円形です。
ヘビイチゴ
ヤブヘビイチゴ
ヘビイチゴは幅広く生育しますが、ヤブヘビイチゴに比べると人里に多く、田んぼの畦など日がよく当たる湿ったところによく見られます。
ヤブヘビイチゴは、名前の通り林の縁などに多く見られます。
ヤブヘビイチゴ
ここは、春先にアズマイチゲやキクザキイチゲやザゼンソウが咲き、コゴミがたくさん出る場所です。なかなか自然度の高い場所です。こんなところにもヤブヘビイチゴが生えるのか半信半疑でしたが、後日、花を見るとヤブヘビイチゴでした。
花の横に実がついています。ヘビイチゴは一斉に花が咲いて、一斉に実になります。ヤブヘビイチゴは、写真のようにだらだらと花が咲いて、花と実が同時に見られます。
ヘビイチゴは、人の暮らしていた場所に多いようです。ここは、先ほどのヤブヘビイチゴよりもさらに山奥です。廃村に残る石垣の横に生えていました。
さらに数百m奥に進むとツキノワグマが茎を食べた思われるオタカラコウがありました。
花には、がくと副がくがあります。ヤブヘビイチゴの副がくは、大きくて目立ちます。
ヤブヘビイチゴ
実に見えるのは偽果と呼ばれるものです。花床が肥大したものです。そこにつぶつぶの種のようなものがあります。それが本物の果実です。痩果と呼ばれるタイプのものです。イチゴ(オランダイチゴ)も同じです。
ヤブヘビイチゴは、この痩果に光沢があります。偽果の色は赤くて、これにも光沢があります。ヘビイチゴは痩果に光沢がなく、偽果の色は赤が薄くて白っぽく、光沢がありません。
子どもたちは、「よく毒がある?」と尋ねます。
「毒はありません。どうぞ食べてください。ただしおいしくありません。2個目をほしいという人にはまだ出会ったことがありません。」と答えています。
ヤブヘビイチゴは、園芸用としてヨーロッパや北アメリカで栽培され、その地で逃げ出して外来植物として生育しているそうです。