この鳥はマミジロといいます。マミは漢字で「眉」。眉が白いのでこの名前が付きました。ツグミ科の夏鳥ですが、飛来数が少なく、出会うのはなかなか難しい鳥の一つです。私も、今回7年ぶり2度目の観察でした。
姿を見るのは大変難しいですが、声ならときどき聞くことができます。といっても、山の奥深く入らないと聞けません。「キョロン キョロン チー」と聞こえる、とても美しい声で鳴きます。
林道でこの声を近くで聞いたので、声のする方を探してみました。木の高い梢から聞こえてきます。枝の隙間から、ようやくマミジロの姿を見つけました。黒い姿は同じ仲間のクロツグミによく似ていますが、真っ白な眉斑がマミジロであることを教えてくれます。
ひとしきり鳴いた後、道を挟んだ斜面に下りるのを確認しました。驚かせないようにそっと観察を続けます。地面をピョンピョンと両足でホッピングして移動する様子は、ツグミ科のほかの鳥と共通です。
この個体は翼の一部に茶色が残っていることから、オスの若鳥と思われました。マミジロはメスも囀るようですので、ひょっとするとメスかもしれません。でも、木の上で朗々と長く大きく囀る様子はオスの縄張り宣言のように思えました。
餌を見つけました。虫の幼虫です。しばらく、あたりをジャンプしながら餌を探しては食べていましたが、その後は再び木の高枝の中に隠れて囀りを繰返しました。やがて飛んで、あたりから気配が消えてしまいました。
巣もヒナも確認できていないので、はっきりしたことは分かりませんが、おそらく但馬の深い山の中でマミジロは繁殖をしているものと思われます。林道で山奥までアプローチできるようになり、こういった珍しい鳥の観察も可能になってきました。
写真・文 コウノトリ市民研究所 高橋 信