マツカゼソウ ミカン科
先日、ある植物の写真を撮ろうと出石の奥の方に行きました。残念ながら時間も短かったせいもあって見つけることができませんでした。その代わりといっては何ですが、マツカゼソウがたくさん咲いていました。
マツカゼソウは、松風草と書きます。マツカゼソウはなかなか風情のある姿形をしています。いい感じなのでお茶花になどと思いますが、くせのある独特の臭いがあるのでそうはいきません。
この個体は茎が赤っぽい
昔から山地の山道を歩くとよく目にする植物の一つでしたが、最近は、非常に増えていて大きな群落になっているところもあります。臭いのせいでシカが食べるのを避けるのです。マツカゼソウは、シカの不嗜好植物の一つです。
小さな花から雄しべがつきだしている。7から8本ある。中央に雌しべがある。
雌しべの下にある柄は次第に伸びてくる。右上になるのは果実。
そんな目でマツカゼソウの生えているところを見てみるとシカの不嗜好植物が目立ちます。サンショウの大きな株があって、その山側は一面のイワヒメワラビです。フタリシズカもありました。トゲが目立つアザミの仲間も2種類ありました。
手前の赤いのがサンショウの実。後ろがイワヒメワラビ。
マツカゼソウは、ミカン科の植物です。日本にはミカン科の植物がたくさんありますが、マツカゼソウはその中で唯一の草です。日本固有種といって日本列島にしか生育しない植物でもあります。貴重な植物なのです。それが、今ではシカが増えてきたかどうかを判定される植物の一つになっています。なんだか気の毒な話です。
小さい葉がたくさんあるように見えるが、これは3回3出複葉というタイプの葉の小葉である。
小さな葉が3つ集まって、それがまた3つ集まって、さらにまたそのかたまりが3つ集まっているのが分かりますか?
当たり前のことだが、この種に依存している昆虫がいる。