雪の中にフユイチゴが赤い実をつけています。
秋の遅くから冬にかけて実をつけるので「冬苺」。わかりやすい名前です。
フユイチゴは木イチゴの仲間です。木イチゴは、但馬には、外来種であるセイヨウヤブイチゴを含めて17種類が自然の中に生育します。また、カジイチゴが栽培されているのを見ることもあります。
フユイチゴは、これらの中でミヤマフユイチゴと共に冬に実をつける数少ない木イチゴです。よく似た名前のコバノフユイチゴという木イチゴも但馬の山の高いところには生育しますが、この木イチゴは夏に実をつけます。
この葉の丸さがフユイチゴの特徴。葉の先がとがらない。
さてこのフユイチゴですが、食べられたようなあとがありませんでした。野生動物がそれほど利用しないのかも知れません。
この葉は先がとがっていてちょっとミヤマフユイチゴのようにも見えるがフユイチゴ。
私はそのことよりも子どもたちが食べられるという知識を持っていないことの方が気になります。この写真の木イチゴたちは、但馬最大の800名近い小学生が暮らす学校の裏山に生えているのです。私たちが子どもの時代なら一つ残らず食べられていたと思われます。校舎のすぐ横に、こんなものがあることを先生を含めて誰も知らないんでしょうね、きっと。
この毛の様子からフユイチゴと分かる。
葉の裏の毛も多い。これもフユイチゴの特徴。
今でも「食べられる」という知識があればあっという間に無くなることは確実です。
ある学校では、アキグミの実が、赤くなり始めると同時に姿を消しました。霜が当たったらもっと甘くなっておいしくなるからといくら話しても無駄でした。私などにはえぐくてとても食べられたものではないアキグミの実を子どもたちは競うように食べ、実はすぐに尽きました。ほんの数年前の話です。
800人弱の子どもの人口から考えると微々たる木イチゴです。とりあえず子どもたちには内緒にして昔を懐かしみながら私が細々と食べていこうと思います。