アメリカネナシカズラ ヒルガオ科
アメリカネナシカズラは、北アメリカからやって来た外来の植物です。穀物や砂防用植物の種子に混じってやって来たようです。日本には、この仲間が4種類自生します。兵庫県には2種類が自生します。ネナシカズラとマメダオシです。
黄色く見えるところがアメリカネナシカズラ
アメリカネナシカズラは、一年草の寄生植物です。相手構わずに他の植物に吸盤(寄生根)で絡みついて寄生し生長するつる植物です。完全な寄生生活をしているため自ら栄養を作ることはせず、葉も退化してありません。葉緑素をもたないので、つるは緑色ではなく薄い黄色をしています。発芽の時には根がありますが、寄主にとりつくとこの根も無くなります。
雄しべとその下の柄に注目
寄生した植物にからみつき、おおいかぶさり、養分を横取りします。旺盛に生育するので、相手の植物を枯らせてしまうこともしばしばあります。ただ、大量に繁茂していたからといって、翌年もそこに大量に発生するわけでもありません。
丸いのは虫こぶ
8-10月に白い花を咲かせます。この花を観察することで種類を見分けることができます。豊岡市域では、海岸や河川敷でよく見かけます。畑に入ると作物の生長に悪い影響を与えます。外来生物法により要注意外来生物に指定されています。
めしべがくっついて1本に見える・・・・・・・ネナシカズラ
めしべが離れて2本に見える
雄しべに柄があって花びらから飛び出している・・・アメリカネナシカズラ
雄しべに柄はなく花びらに飛び出さない・・・・・・マメダオシ
海岸のアメリカネナシカズラ。ハマゴウに寄生している。ハマネナシカズラはハマゴウによく寄生する
私は京都府の海岸で初めて海岸の植物を学びました。その時に黄色いひものような植物を指して、これは寄生植物のハマネナシカズラだと教わりました。以後、海岸で似たようなものを見るとハマネナシカズラだと思い、海岸以外で見るとネナシカズラだと思ってきました。ところが、次第に海岸のネナシカズラは、ハマネナシカズラではなく外来のアメリカネナシカズラだということになってきました。
ということは、おそらくは在来のハマネナシカズラが外来のハマネナシカズラに取って代わられたのだろう、困ったことだなと思いました。
ところが、そんな単純なことでもないようです。私が京都府の海岸でハマネナシカズラだと教えてもらったのは、1970年代の終わりですが、すでにこのネナシカズラはアメリカネナシカズラだったようです。どうしてこんなことが分かるかというと、京都府産のハマネナシカズラの標本はどこにも存在しないからです。私たちの住む兵庫県も同じです。この辺りでは、アメリカネナシカズラがハマネナシカズラに置き換わったのではなく、元々なかった場所に侵入した可能性が高いようです。
最近では、海岸以外に生育するネナシカズラ、マメダオシも見かけることは稀で、こちらはアメリカネナシカズラに置き換わっている可能性があります。