ミスミソウ キンポウゲ科
ミスミソウは但馬の早春を彩る可憐な花です。
今年は暖かいのか海岸部のミスミソウは3月9日にはすでに満開でした。
但馬では、ミスミソウは海岸のすぐ近くから奥山まで生育します。広く生育するので思わぬところで出会うこともあります。ミスミソウは、落葉樹林の中で適度な日差しのあるところや木の少ない湿り気のある斜面などに生育します。多年草ですから、毎年、季節になれば楽しめます。ただし、人に見つからなければです。
10年ほど前に小さな観察会に呼ばれました。その時にミスミソウを発見しました。触れないわけにもいかないので、一通り説明しました。「希少だから盗らない」ことも付け加えました。上の2枚の写真がその時のものです。
花が咲かない株だけが残っている。
残念なことに数年して、花は見られなくなりました。ここにあると場所が分かっていると白い花を見て、見つけ出すことは容易です。その場所には今でもわずかに残っていますが、それは葉だけで、開花はしない株です。花が咲くとこの株も盗られてしまいそうで心配です。江戸時代からユキワリソウ(雪割草)の名前で広く栽培されていますので、園芸用のものを利用してほしいと思います。兵庫県では、ミスミソウは、同じ仲間のスハマソウ、ケスハマソウを含めて絶滅危惧Bランクの植物に指定されています。
今回の写真を撮るときはヒヤヒヤしながらでした。写真を撮っているところを誰かに見られて、なんだろうと見に来られたらばれてしまいます。
この場所は、別の意味で、人の影響が心配です。下にミスミソウが生えていることを知らずに上をおおっていた木が切られてしまいました。そのために日差しが一気に強くなっています。直射日光は苦手なので心配です。見つかっても大変、気づかれなくても大変、なかなかやっかいなものです。
日差しが強すぎて元気がない株
ミスミソウというのは、葉が三角形で、端が尖っていることからついた名前です。わかりやすい名前です。葉の端が尖らずに丸くなるものをスハマソウといいます。Hepatica nobilis Schreb. var. japonica Nakai という学名ですが、Hepaticaは、肝臓という意味でやはり葉の裂片の形から来ています。
花びらに見えるものは、萼片になります。萼に見えるものは、苞になります。なんだかよく分かりませんね。
萼みたいな葉。
毛がたくさん生えている。
果実。中に種子が入っている。