キクイタダキという鳥がいます。とても小さな鳥で、体長は10cm、体重は5gほどですので、重さは1円玉5個分ということになります。日本で見られる野鳥なかで、一番小さな鳥だそうです。飛来数が少ないため、めったに見ることのできない鳥ですが、この冬は各地でよく観察された様子でした。
漢字で書くと「菊戴」。頭のてっぺんに菊が乗っているように見えることから、その名があります。
キクイタダキは但馬では冬の渡り鳥ですが、在来のカラ類と一緒に行動することが多い鳥です。今回の観察は3~4羽の単独の群れでした。ひと時もじっとせず、木の上をチョコマカ走り回っては、窪みや又に潜む虫を探していました。
ひとしきり近くの木で採餌活動をすると、高く細い声で鳴きながら谷の底の方へと姿を消して行きました。
キクイタダキ、愛嬌のある可愛らしい小鳥です。
写真・文 コウノトリ市民研究所 高橋 信