カンゾウ (山菜)ユリ科ワスレグサ属
萱草
円山川の河川敷では、3月にはいるとカンゾウの芽が出てくる。
豊岡市街地あたりの河川敷では、平成16年の台風23号災害の関係で、河川敷の改修工事が行われ、カンゾウ群落も一時は大きな打撃を受けた。しかし、宿根草のカンゾウはすぐに回復し、現在は無数に群落があるといってよい。カンゾウの芽吹きは美しい草色で、周辺の雑草の緑と微妙に色合いが違っており、遠くからでも判別できる。
ヤブカンゾウとノカンゾウの2種が自生しており、どちらも美しい花を咲かせるが、八重と一重の違いがあり、これらの説明は別にゆだねるとして、本稿では紹介する山菜としては、ヤブカンゾウとノカンゾウ、どちらも同じものとして扱ってよい。
春先のカンゾウの芽は優秀な山菜である。但馬の平地部では3月に入ると芽吹き、新芽が徐々に伸張していく。10センチぐらいまでが採りごろである。平地部では3月20日ごろが採りごろで、その前後2週間ほどが旬といってよかろう。標高が上がるにつれて時期は遅くなっていくので、場所によっては4月中旬ぐらいまでが採取時期といえよう。
土中部の白い部分がボリュームもあり美味しい。ナイフを土中に差し込むように深く切り取るのがコツである。
カンゾウは、甘味料のステビアを含んでいるので上品な甘さを有する。おひたし、酢味噌和え、天ぷら、何でもいける。私は、軽くゆでてドレッシングなども軽めにして、カンゾウの持つ甘み味わうのが一番だと思う。
カンゾウ、別名を忘れ草。花が一日でしぼんでしまうから、美しい花を見ていると物を忘れるから、あるいは、若葉を食べると美味しくて憂いを忘れるから、語源の説はいろいろ見られる。平安時代中期に作られた辞書といえる「和名類聚抄」に若葉を食べると美味しくて憂いを忘れると紹介されているとのこと。
地方によっては販売もされている。余談であるが、ネット通販で100g500円送料別があった。採集、調整の手間を考えると、そのぐらいの値段は仕方ないと思う。
春を告げるとても美味しい山菜である。
なお、山菜は、群落ならその一部を採取する、一度採取したあとの2番芽を採らない。資源維持の基本を守って活用すべきであるが、このカンゾウに関しては資源量が豊富で心配は要らないと考えている。