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ユビナガコウモリ

ユビナガコウモリ コウモリ目ヒナコウモリ科(Miniopterus schreibersi)
指長蝙蝠
コウモリ、哺乳類の中では、鳥類と同等の飛翔能力を得た唯一のグループである。
飛膜が人差し指から後足首、尾まで広がっており、羽ばたくことにより完全な飛行能力を有している点で、ムササビなどとはレベルが違う生き物。

マイナーな生き物かと思いきや、種数は確認されているだけでも980種に達し、哺乳類の4分の一近くを占めている一大勢力である。日本においても約100種の哺乳類のうち、約3分の1に当たる約35種をコウモリ類が占めている。また、コウモリ目は、南極大陸以外のすべての大陸に分布しており、その点でも哺乳類では唯一のグループである。高度な飛行能力を獲得した結果と考えられている。あまり馴染みがないが、実はすごい生き物である。

豊岡市内にある鉱山跡を見学したところ、横坑内に100~200頭程度のコウモリがいた。
ユビナガモウモリである。他のコウモリと比べ翼手の第3指(中指)の第2指骨が著しく長いことからこの名前がついている。翼をたたむとき,第3指の第2指骨を前方に折り曲げる。

体重10-17g、日没後、ガなどの昆虫を捕食し、高速で飛翔する。交尾は秋に行なわれ、受精卵は着床せずに成長中断のまま冬眠に入る。冬眠覚醒後に発生が再開され着床するという遅延着床が知られている。ユビナガコウモリは7月に出産するが、大規模な集団繁殖を行なうことも知られており、近畿での集団繁殖地は和歌山県白浜の海蝕洞がひとつだけ確認されており、ここに集合する妊娠メス数は約3万頭、その中から親子は互いに特定する能力を持っているというから驚きである。但馬地域に生息するユビナガコウモリも和歌山の集団繁殖地で出産している可能性が高いと考えられる。

コウモリ類の分布や生態についてはまだまだ未知な点が多い。兵庫県では指定されていないものの、近隣府県の多くではレッドデータに記載されている。但馬には沢山の廃坑があり、本種を含めコウモリ類の生息状況など興味深いものがある。

なお、今回確認したコウモリの種の同定は簡単ではなかった。当初はモモジロコウモリではないかと思われたが、但馬のコウモリに詳しい永井英司氏に、撮影写真より指骨長を確認していただきユビナガコウモリであることが判明した。

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