コウベモグラ 食虫目 モグラ科
モグラの仲間は山野に広く生息していますが、野外で生きている姿を目にされた方は少ないと思います。生まれて一度も見たことが無い方も多いでしょう。地中にトンネルを掘ってその中で暮らしており地表にはほとんど出ることがないので、我々が目にする機会はごく稀です。
日本に生息しているモグラ科は8種いますが、但馬地方に分布しているモグラ科はコウベモグラとヒミズの2種です。ヒミズは半地下生活で地表にもよく姿を出しますが、コウベモグラはほとんど地上に姿を見せない「真性モグラ」です。
非常に大きな前肢(手)です。爪もよく発達しており、トンネルを掘るのに適しています。胴体は円筒形で、トンネル内で方向転換ができるように柔軟です。頭胴長は12~18cmほどです。トンネル内に入ってきた昆虫やミミズなどを食べています。この写真で小さな眼が判るでしょうか。モグラ科の動物は眼が退化しており、視覚に頼ることはできません。そのかわりに鼻先には「アイマー器官」というモグラ科特有の感覚器官があります。
モグラは非常に大食漢で、半日以上エサを食べないと死んでしまいます。なので、飼育するのが非常に難しい動物です。日光に当たると死んでしまうと言われますが、日光で死ぬ事はありません。おそらく、地表に出てきて半日以上エサにありつけずに餓死したものを見て、そう考えられたのかもしれません。
発達した手と特有の器官、円筒形で柔軟な胴体。地中生活に適したこの動物の体を見ると、「進化」の不思議さと面白さを感じます。
写真・コウノトリ市民研究所 高橋 信
文 ・コウノトリ市民研究所 北垣 和也