クサガメ カメ目 イシガメ科
クサガメは平野部の池や沼、河川下流域などの流れのゆるやかな場所に生息しています。子どもはゼニガメとして販売されていますので、ペットショップなどで見かけたり、飼育された方もあるでしょう。ニホンイシガメの子どももゼニガメとして販売されていますが、黒い色をしているものがクサガメです。大きさは、甲羅の長さがオスでは最大20㎝ほど、メスは30㎝を超えます。雑食性で魚などの死体や水草などを食べます。危険を感じると、前後の足の付け根から悪臭を出すことが名前の由来と言われています。つまり、「臭亀」です。
以前は豊岡市内の円山川廃川などでも姿をよく見たのですが、外来種のミシシッピアカミミガメに生息場所を奪われたのか、最近では滅多に見ることがありません。この写真は円山川下流域の湿地で撮影しました。久しぶりに見かけました。
このクサガメですが、以前は在来種とされていました。それが、江戸時代以前の文献にはクサガメと思われる記述がない事、化石が発見されていない事、また、中国大陸や朝鮮半島のものと遺伝的にほとんど変わらない事などで、最近では江戸時代に日本に移入されたという説が強いです。
クサガメの甲羅。縦に3本の筋(キールと呼ぶ)があるのが、クサガメの特徴です。
メスの頭部。黄色いまだら模様があるのが特徴です。この模様はオスにもありますが、オスの場合、成長すると消えてしまう個体もいます。
こちらはオスです。前述のように頭部のまだら模様が消え、黒一色になった個体です。
これからの季節、水辺の石の上などで甲羅干しをするカメを見かけるようになります。もし見かけられた時、クサガメかどうか、じっくり観察されてみてはいかがでしょう。
写真・文 コウノトリ市民研究所 北垣和也