漢字表記で「山椒喰」と書き、スズメ目サンショウクイ科の但馬地方では夏鳥です。尾羽の長いスマートなスタイルは、ハクセキレイのシルエットによく似ていますが、ハクセキレイが水辺の鳥なのに対し、サンショウクイは山の鳥です。
白と黒のツートンカラーはシックです。頭部の後ろは黒く前は白い様子は、サムライのちょんまげ姿にも見えてユニークな表情です。
サンショウクイは山で見かけることの多い鳥ですが、市街地の林縁付近でも姿を確認することができます。ただし、木の枝に止まることがほとんど無く、日中は飛びながらテリトリ内の上空を巡回しながら昆虫を捕食しています。
サンショウクイは高速で飛び回るので、なかなか飛翔姿を写真に撮るのがむずかしい相手です。この写真も枝から飛び出したところを狙いましたが、ごらんのとおりブレてしまいました。
さて、サンショウクイの和名の由来ですが、これは鳴き声を一度聞いたらすぐに了解されるでしょう。「ピリリ・ピリリ」と甲高い声で飛びながら鳴きます。「山椒は小粒でもピリリと辛い」のピリリです。
空の上からピリリと声が降ってきたら、それはサンショウクイの鳴き声でしょう。空を見上げる時には、その姿はすっと遠くにすばやく消え去ってしまっているかもしれませんが、こんなニッチな鳥が、但馬地方で繁殖していることを覚えてください。
写真・文 コウノトリ市民研究所 高橋 信