大きな川の周辺にある湿地は川に住む魚たちにとって重要な場所です。このような湿地には、春から夏にかけて、産卵のため川から多くの魚が入ってきます。また稚魚がある程度の大きさに育つまで過ごす場所でもあります。
円山川下流域には汽水の湿地があり、ここには何種類かの海水魚も入ってきます。海で孵化した魚の稚魚がこの湿地を成育場として利用しているようです。先月、その湿地で魚類調査をしたときに撮影した魚を紹介します。どれも2~3cmほどの大きさです。
ボラ科の稚魚です。円山川下流域にはボラの仲間はボラ・メナダ・セスジボラの3種類が生息しているようですが、その中のどれかだと思われます。
おそらくスズキの稚魚と思われます。
これらは本来、海水や汽水に住んでいるのですが、河川の淡水域にも入ってくることがあります。河川周辺などの湿地は、これら海の魚にとっても重要な場所です。このような湿地は人間の経済活動の視点からすると、あまり価値がないと見られるようですが、こうしてみると、漁業資源の維持再生という重要な役割を果たしているように思えます。様々な視点から自然環境を見つめてみることが必要なのでしょう。
写真・文 コウノトリ市民研究所 北垣 和也