冬の円山川河川敷は、野鳥にとって格好の隠れ家と餌場になっています。注意深く観察していれば、込み入ったヤナギの枝中や、生い茂ったヨシ原の中に、隠れ上手の鳥を見つけることができます。
中でもフクロウの仲間のトラフズクは、昼間はじっと動かず、木と同化しているので、見つけるのが難しい鳥の代表です。
雪の河川敷、ヤナギの枝分かれの基部に、1羽のトラフズクを見つけました。そこにいることが分かってしまえば、指示されたあたりに見つけることができますが、何気に通り過ぎるだけでは、まず気づくことはないでしょう。
同じ場所のアップの写真です。トラフズクはこちらに気づいてオレンジ色の目を開いていますが、日中はじっと目を閉じて日が暮れるのを待っているので、存在感はまったく希薄です。
日が落ちると、狩の時間の始まりです。トラフズクは河原の野ネズミを選択的に捕食する猛禽類です。聴力を頼りに夜のネズミを捕捉し、音も立てずに空から急襲して捕まえます。雪の下のネズミでも、トラフズクは難なく捉えることができます。
トラフズクは何羽かの群れで円山川流域で越冬し、春が近くなる頃、いつのまにかいなくなってしまいます。
写真・文 コウノトリ市民研究所 高橋 信