渡り鳥が南へ動く季節。出石川下流の加陽湿地に2羽のクロハラアジサシが飛来しました。チドリ目カモメ科の鳥で、春と秋の渡りの時期に希に豊岡盆地で観察される希少種です。
春の渡り期には、名前の由来となった「黒い腹」をしていますが、繁殖を終えて南へ渡る秋には、黒い羽根が白い羽根に生え変わります。写真の個体はまだ少し黒い羽根を残していますが、2羽で飛来したもう一方の個体の腹は真っ白でした。
2羽は、国交省が大規模な湿地造成を行った堤外に数日間滞在しました。水中の魚を飛行中に見つけると、真っ逆さまに落ちてゆきます。
勢いよく水中に飛び込み、魚の捕獲を試みますが、100%成功するわけではありません。何度かに一度、自分で食べられるサイズの小魚を捕まえます。
小型のフナを捕まえました。クロハラアジサシは魚を専門に捕まえるわけではなく、田んぼや草原の虫も餌にします。
海に近い豊岡盆地、オセアニア方面の越冬地へ向かう道すがら、海鳥のクロハラアジサシが旅の中継地として時々利用して行きます。
写真・文 コウノトリ市民研究所 高橋 信