鉱山の町生野で「甲社宅」の名で町民に親しまれてきた「旧生野鉱山職員宿舎」が改修を終えてオープンを迎えました。
明治の始めより鉱山技師の宿舎として建てられ、大正・昭和と増築しながら18棟もの宿舎が使われてきましたが、現存するのは6棟だけとなっています。
そのうちの4棟が明治・大正・昭和のそれぞれの時代の間取りに復元。
明治期には玄関の間取りが広く、大正期には縁側にガラス戸が入り、昭和期になると子供部屋を増築するなどの特徴があるらしく、調査研究に関わった神戸大学の学生さんたちが、4棟の模型を作って詳しく説明してくれました。
赤みをおびた屋根は生野瓦で、こちらも隣町で復元されたもの。塀の瓦の上にある一富士二鷹三なすびの鬼瓦は、当時の職人さんの遊び心が感じられて、私のお気に入りです。
大正時代の間取りの甲7号は、この生野の甲社宅で生まれ育った俳優の『志村喬記念館』として利用され、ゆかりの品々が展示されています。
黒澤明監督の作品で「いぶし銀」といわれた演技が思い出される空間です。
観光の拠点「まちづくり工房井筒屋」の向かいには旧浅田邸と旧吉川邸が改修され、こちらも竣工記念式典が行われ、「口銀谷銀山町ミュージアムセンター」がオープンしました。
朝来市長の挨拶や市議会議員の方々の祝辞があり、テープカットの後、中を公開。
和風の渡り廊下の先には洋館の離れがあり、和洋折衷を好んだ時代を感じることが出来ます。蔵はギャラリーとしての活用が考えられているようです。
細かい細工の建具が美しく、庭をながめなら豪華な食事ができる施設になったらいいなぁと思ったのは私だけでしょうか?
どちらの施設も地元自治区のみなさんが管理運営をされます。色々なアイデアで鉱山町の歴史や文化を発信していただきたいですね。
9月26日の『銀谷祭り』には生野の町が昭和の懐かしい時代にタイムスリップします。
新しい施設も増えてますます魅力いっぱいの町にぜひいらしてください!
こちらは昨年の様子。