3月26日の朝、通勤途中の鳥仲間から六方田んぼにヒシクイ5羽飛来の情報が入りました。私も出勤途中に寄り道して、その5羽をチェックしました。ちょうどツクシが伸びた時期に、北帰行のグループが立ち寄ったものです。
普通ヒシクイはかなり警戒心の強い鳥ですが、今回の5羽はそれほどでもありませんでした。多くのカメラマンの目に触れてレンズを向けられていても、すぐに飛んでしまうことなく新鮮な若葉を黙々と食べていました。
ツクシの季節からサクラの季節に移り、六方田んぼの同じエリアで5羽のヒシクイをチェックするのが日課となりました。
百合地巣塔ではコウノトリのベテランペアが、今年も繁殖に入っています。ラジコンヘリの調査で、卵は5個あることが確認されています。そんな巣ごもりの様子を見ながら、ヒシクイは2週間滞在を続けました。私の終認日は4月8日でした。
カモ目カモ科のヒシクイは、兵庫県レッドデータBランクの希少種。日本には2亜種が飛来し、西日本には亜種オオヒシクイが多く、今回ここで確認した亜種ヒシクイはさらに希少です。コウノトリに加えて、越冬したソデグロヅル、今回のヒシクイ、このような希少な鳥が一度に見られる場所は他にはないでしょう。豊岡盆地の自然のすごいところです。
写真・文 コウノトリ市民研究所 高橋 信