これがパンダです。もちろんあのパンダではありません。野鳥観察の仲間の間でパンダと呼んでいる鳥です。正式名はコクマルガラスといいます。
カラスの仲間ですが、冬の渡り鳥として日本にやってくるので、秋の終わりから春先にかけての間にしか観察できません。ハトくらいの大きさの小型のカラスです。
コクマルガラスは単独で観察されることはほとんどなく、たいてい同じ冬の渡り鳥ミヤマガラスの大群の中にまぎれ込んでいます。一年中見られる日本のカラス、ハシブトガラスやハシボソガラスと違って、ミヤマガラスはくちばしが土色をしています。
冬の間、カラスの大群を見かけたらくちばしを観察してください。黒いくちばしではなく土色のくちばしならミヤマガラスです。そのミヤマガラスの群れをよく観察すると、小さなコクマルガラスが見つかるかもしれません。
コクマルガラスは「カーカー」とは鳴きません。「キャー」とか「キュー」といった変わった声で鳴きます。ミヤマガラスの群れを観察していて「変な声」が聞こえたらコクマルガラスがまじっていますよ。しっかり探して見つけてください。
コクマルガラスは、実は２つのタイプがいます。パンダと呼ばれる白黒のタイプを「淡色型」（たんしょくがた）、白の混じらない黒いタイプを「暗色型」（あんしょくがた）と呼んでいます。
この写真は手前に３羽のコクマルガラスが写っています。右端が淡色型、左端が暗色型、その間にはさまれたもう１羽は、ちょうどその中間型です。完全に黒ではなく、ところどころに白い羽根が混じっています。
ジブリアニメの「魔女の宅急便」の中に白黒のカラスが出てきます。これがコクマルガラス（の仲間）です。またアニメを見ることがあったら、コクマルガラスの名前を思い出してくださいね。
文・写真 コウノトリ市民研究所 高橋 信
