ツバメが南に帰る準備を始めています。2回目の子育ても終り、巣立ったヒナたちも親といっしょに夏の空を飛び回っています。
ツバメはどうして、わざわざ人の家を選んで巣を作るのでしょうか? 理由はこうです。
人家の軒(のき)の下は雨を防ぐことができますし、ツバメを襲(おそ)うヘビやタカなどの天敵(てんてき)も近寄りません。 ツバメにとって、人の近くにいることが一番安全なのです。
さて、ツバメの巣をよく見ると、このようなトックリ形をしたものがあることに気づきます。この巣はコシアカツバメという、普通のツバメとは違う種類のツバメの巣です。
コシアカツバメは、名前の通り、腰(こし)が赤いです。普通のツバメより少し大きく、数はツバメほど多くありません。
ツバメは8月の終りから9月にかけて南の国に渡ってゆきますが、コシアカツバメはツバメより一ヶ月以上遅(おそ)くまで日本に滞在(たいざい)します。
円山川下流のヨシ原では、毎年この時期になるとツバメの「ねぐら入り」が見られます。何千、何万というツバメがひとところに集まって、集団で夜の眠りにつく不思議(ふしぎ)な習性(しゅうせい)です。
「ねぐら入り」のツバメの大群(たいぐん)の中にコシアカツバメはいません。コシアカツバメはこのような集団を作ることをしないようです。
今度ツバメを見たら、腰が赤いかどうか、チェックしてみましょう。
写真・文 コウノトリ市民研究所 高橋 信