オオタカは環境省レッドデータで準絶滅危惧指定、兵庫県レッドデータではBランクの希少種です。現在もごく普通に見られる鳥とはいえませんが、少し前に比べると明らかに状況が違ってきています。生息数が確実に増えているのです。
稲刈りが終わるころ、待ちわびたようにサギたちが田んぼに戻ってきて、採りやすくなったバッタやカエルを次々に捕まえて食べています。餌とりについ夢中になって油断していると、遠くからじっとスキを狙っていたオオタカに、一瞬にしてやられてしまいます。
この写真はチュウサギがオオタカ成鳥メスに食べられている場面です。オオタカのメスはオスより少し大きく、色も少し茶色っぽいです。
この写真は昨年の様子ですが、オオタカ成鳥オスがチュウサギを襲っている場面です。上のメスにくらべ、締まった体つきで白黒のコントラストも強いです。
このときは不用意にオオタカに近寄りすぎました。驚いたことに、自分より大きなチュウサギを足でつかんだまま飛び立ち、見えない場所まで飛んで行ってしまいました。
オオタカの今年生まれの幼鳥です。成鳥と違って、トビのような茶色い羽根をしています。遠くからみればトビと間違いそうですが、尾羽の縞模様や白い目の色などの特徴が分かればトビと区別ができます。
毎年、稲刈りが終わるころには、田んぼの電柱に止まる姿が観察されます。オオタカの幼鳥を毎年確実に、しかも複数、観察できていることから、田んぼ周辺の里山林でオオタカの繁殖が順調に進んでいることが分かります。
一昔は、オオタカは自然保護の象徴のように扱われ、開発工事の事前調査でオオタカが出たりすると工事が中止になるようなこともありました。今、手入れのされない植林や里山林に、オオタカの住みやすい環境が戻ってきています。いつまでも古い尺度で自然を語るのではなく、常に変化し続ける自然環境を知った上で人と自然のかかわりを判断する必要があります。
写真・文 コウノトリ市民研究所 高橋 信