但東町の山の中で雪上のノウサギの足跡を発見した。
　ウサギの足跡は図鑑などで知っていたが、実物を見たのははじめてである。
　ノウサギ自体は、最近は少し増えているように思う。夜間林道を走っているときに良く見かける。
４０年以上前は山に行くと豆をまいたようにノウサギを見かけた、という話をベテラン猟師から聞いたことがある。但馬の６０歳以上の方から、学校の授業でウサギ狩りをしたという話も良く聞く。

しかし、近年はノウサギはめっきり見かけなくなった。宮崎学氏によると植林のための皆伐により一時的に草原状態が作り出されノウサギは餌がとりやすくなると同時に遠くまで見渡せて敵を察知しやすくなったため、急激に数を増やし、その後、幼木が成長し始め潅木林となりブッシュ化すると餌がとりにくくなり天敵に襲われやすくなるため数を減らしていった。ところが４０年以上経ち成林化してくると下層植生が限られ、遠くまで見渡せるようになり再びノウサギの数が徐々に回復してきている。こんな感じの仮説だ。
　つまりめっきりと姿を消した状態から現在は徐々に回復しつつある。たしかに感覚的にはそういう状態のように感じる。仮説のシュミレーションは拡大造林からの森林の変化や聞き伝え体験談とも時期的にあっているように思う。
　昔はたくさんいたウサギであるが私にとっては縁遠い生き物であった。しかし最近は良く見かけるようになってきた。山の状況の変化との関連は非常に大きいと考えられる。
　ウサギは日本人には馴染みの深い動物である。現状では現物と馴染みの深い人は非常に限られていると思うが、昔話や絵本などでウサギを知らない人はいない。でも本当のウサギを知っている人はほとんどいない。
　今回発見した足跡はまったくの山中で、植林地と広葉樹林がパッチ状になっているような場所である。シカの密度が高いため、下草食性はほとんどなく見通しは良い。ウサギにとっては生息環境は以前より良くなっているのかもしれない。
　ノウサギの足跡は特徴的だ。ぴょんこぴょんこと飛び跳ねるので、大きな後足が並んで付き、前足の跡が前後にずれて付く。前足の付いたところよりもさらに前方へ後足が付く。
　意外とでかい。
　面白い足跡である。
　ノウサギは積雪地帯では冬毛は真っ白で白兎になる。南方では年中灰褐色系である。但馬では白兎になるものもいると聞くが私は良く知らない。現物は積雪期以外でしか見たことが無いのである。因幡の白兎というくらいだから、鳥取県に白兎がいるとすると但馬も白兎がいるのであろう。
　ノウサギは、おでこに白い星がついている。白兎ではわからないが夏毛ではでこの星が分かる。このでこの星が最近大きなものを良く見かけると、県南部の人から聞いたこともある。
　ウサギは四足なのに１羽、２羽と鳥のように数えるのは有名である。美味しいらしいが残念ながら食べたことが無い。
　はっきり言って、但馬のノウサギのことは私にはよく分かりません。詳しい方からのコメントがあればありがたいです。