2008年春に円山川下流のひのそ島に飛来した1羽が、但馬での最近のヘラサギの飛来記録となりました。過去にも飛来記録があるようですが、近年では珍しい記録としてちょっとした話題になりました。
1年おいた2010年に再飛来し、以後2012年の今年まで3年連続で円山川下流域に飛来しています。いずれの飛来も4月10日前後であり、ヘラサギは決まった時期に正確に渡りをしていることが分ります。
2012年4月14日に、戸島湿地で観察したヘラサギです。2羽での飛来で、写真の左、くちばしの色が薄いのが幼鳥です。右の成鳥はくちばしが黒く、頭の後ろに冠羽が出ています。もちろん、ヘラのようなくちばしの形が名の由来です。
2羽が並んだところを前から見ると、幼鳥(左)と成鳥(右)の違いが分りやすいでしょう。親子なのかどうかは分りませんが、2羽で北の繁殖地へ向かう途中に立ち寄ったのです。
水中にくちばしを入れたまま、左右に振りながら触覚で餌を探す様子はコウノトリと同じです。サギのように、水上から目で獲物を捕捉してすばやくキャッチするという方法ではありません。この時に採っていたのは、エビのようでした。
ヘラサギはシラサギとよく似ています。サギの名をもらいながら、実はサギの仲間ではありません。ヘラサギはトキ科の鳥です。
円山川下流域がラムサール条約湿地に登録されようとしていますが、コウノトリはもとより、ヘラサギのような希少な渡り鳥が円山川の湿地を利用していることで、鳥たちがその重要性を教えてくれているといえるでしょう。
写真・文 コウノトリ市民研究所 高橋 信