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森のスカベンジャー

森のスカベンジャー
「閲覧注意!」
 今回の報告については、人によっては不快に感じられる方もいらっしゃると思いますので、閲覧については注意してください。
 スカベンジャー、もともとの意味は、ゴミをあさる人。ゴミをあさって生計を立てている人。転じて生物の世界では「腐肉食動物」のことを言う。
 野生動物が死ぬと、多くの場合はスカベンジャーが食べてしまう。死体は腐敗していくが、スカベンジャーが食べてきれいにしてくれる。よって、「掃除屋さん」とも言われる。
野生動物のテレビ番組などでハゲタカやハイエナが死体に群がっている場面が出てくることがあるが、あれのことである。われわれの身近なところでは、交通事故で死んだシカやタヌキなどに、カラスやトンビたかっているのを見たことのある人も多いと思う。
 知り合いの猟師さんから、「数日前に交通事故ではねられたシカが集落近くをうろついていたが、とうとう死んだ。死体は放置されているけど、撮影したら?」という情報を頂いた。早速、赤外線センサーカメラを設置することにした。
 果たしてどのようなスカベンジャーがやってくるのだろうか。シカの死体は、集落から300mほど離れた道路からのり網柵を越えて少し入った林縁部に横たわっていた。通常人間は来ないところで、ちょうどその場所はシカやクマなど野生動物の通り道であるらしい。
私がカメラを設置しに行ったのは、死亡した翌日。既に、でん部からモモにかけて何者かに食われてしまっている。事故で負った傷口には、生きている間にハエが卵を産みつけていたのであろう、既に蛆も這っている。真っ先に、はらわたを引きづり出して食べるイメージがあったが、そうでないところが意外であった。

その日から、毎朝、通勤途中にセンサーカメラのデータ回収を行った。
 撮影された概要は次の通り。
 設置したその日の夜。18:45ぐらいから、間断的に翌朝3:50まで動画が記録されていた。タヌキが夫婦連れで来ている。
 次の日、19:50ぐらいから同様にタヌキが来ている。翌3:45ごろ、キツネが来た。
 その後もキツネと夫婦連れのタヌキが、代わる代わる来ている。タヌキの方がやってくる頻度が高い。ただ、感じとしてはキツネのほうが優先的のようである。腹が一杯になるとしばらくどこかへ行って、数時間後にまたやってくる。そして、4日目5:11ごろにツキノワグマが来た。クマが死体を運んでいったのでしたい撮影は終了した。。
 以下、撮影された動画の一部を見ていただきたい。
 これは、3日目のキツネの映像である。他の映像には明らかに肉を食っているところも映っているのだが、どちらかというと死体に集まる、おそらくシデムシ類を熱心に食べているように見える。キツネは色が明るいので露出オーバーになっており、見にくくて恐縮である。

 こちらは、3日目のタヌキの映像、こちらは明らかに肉に食らい付いているという感じ。既に柔らかい部分は食いつくしてしまい、腐敗が進んで筋の部分も食べやすくなった部分をねらっているようにも見える。

 こちらは、4日目のツキノワグマの登場シーン。前半はクマの接近に警戒しているタヌキの様子が映っている。クマが大喜びで駆け寄り、慣れた手付きで食い始めているように見える。

 こちらはその後のクマの映像。良く見ていただくと、肉を食いちぎっているように見える部分もあるが、大量に発生している蛆を食べているようにも見える部分もある。そういえば、クマはアリやハチなども好み、昆虫食は大好きなのだ。胸腔に頭を突っ込んで食べている様子は豪快である。食い始めてから10分以上経過し、お腹も一杯になってきたような余裕の行動も見られる。

 こちらは、クマがシカの死体を引きずって去っていく様子。クマは自分の獲物を引きずって持っていくと言われるが、その行動だろうか。この映像の約2時間後にデータ回収のために現場を訪れたが、死体は約15mほど先に残されており、アバラがむき出しで、肉の部分はあまり残っていないように見えた。また、蛆もあまり付いていないように見えた。

 本来であれば、詳細な写真撮影や観察をすべきであったと思うが、通勤途中の早朝に一人でこのような状況でじっくり観察する勇気は、残念ながら私にはなかった。自分の餌を守ろうとするクマに襲われる危険性もあるし、かなり気持ちの悪い雰囲気で、一刻も早く立ち去りたい気分だった。
 キツネ、タヌキがスカベンジャーであるということは、よく知られている。だが、ツキノワグマもスカベンジャーであることは、一般の人にはあまり知られていない。
 クマは食肉目で、もともと肉食だったものが雑食性に進化している。だから、木の芽も草本もドングリ類、果実類、昆虫類、生肉でも、腐肉でも、餌として利用できるものは何でも食べるといって良い。イメージがあまり良くないが、死体に湧く蛆虫も大好きなのである。
 シカ死体の情報を頂いた知り合いの猟師さんは、日頃から私の動画撮影に協力していただいている方で、シカ、イノシシ、クマなどの野生動物の生態に非常に詳しい。この協力者の情報提供とアドバイスのおかげで今回撮影に成功することができた。この場を借りてお礼申し上げます。

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