冬鳥観察の楽しみの一つに、「赤い鳥」探しがあります。冬枯れの風景の中で、はっとするような赤い色の小鳥を見つけると、寒さも吹き飛ぶほど嬉しい気持ちになります。
この冬は、初冬の頃にアトリの大きな群れをあちこちで見ることができました。アトリの飛来する年は、同じアトリ科の赤い鳥の飛来も期待できます。期待しながら冬のフィールド観察を続けましたが、どうしたことか、赤い鳥がいっこうに見つかりません。
1月の終わりになって、ようやく赤い鳥の一つに出会いました。ウソです。ワンポイントの赤ですが、ぽっと頬を染めたような赤が美しい鳥です。
こちらは、同じ群れの中にいた、アカウソと呼ばれる亜種です。頬のほかに、胸から腹にかけても淡い赤色をしています。
2月に入ると、河川敷の荒地でベニマシコに出会いました。漢字で「紅猿子」と書きます。赤い顔を猿に見立てた名前です。
こちらの色が薄いのは若いオスです。ウソもベニマシコも、メスは赤くありません。
冬の赤い鳥は、ほかにも、オオマシコ、ベニヒワ、イスカなどの美しい鳥がいます。なかなか出会うことのできない鳥ですが、この冬も結局会えずに終わってしまいそうです。
写真・文 コウノトリ市民研究所 高橋 信