カキ食うクマ
集落のカキの木に登り、カキの実を食害するツキノワグマの撮影に成功したので報告する。
動画は深夜に赤外線センサーカメラで撮影したものであり、クマの体は黒いので良く見えない。目の反射光はよく分かるが、体の輪郭はなかなか分かりにくいので、画面の明度やコントラストを上げるなり調整していただければと思う。見えにくくて申し訳ない。
動画は画面の右下の枠のようなものをクリックしてフルスクリーンで見てください。
まず撮影状況について説明する。面倒であるが、状況を把握していただいた方が、この動画の意味が良く理解できると思う。
場所は豊岡市の山間部にある集落。民家から約100m離れた林縁部の畑に植わっているカキの木。山側から集落に向けて撮影している。
9月3日にカメラを設置。9月12日にクマが登っている痕跡を確認したが、残念ながらカメラの動作不良により撮影されていなかった。まだ実が残っているので再度来ることを期待して継続設置。9月19日20時35分撮影成功。20時46分36秒まで5シーン撮影できた。
現場はこのような状況。9月12日撮影。カキの木の向こうに民家が見える。動画の中央左に見える光は民家の光であろう。
別方向から。10月3日撮影。枝折れが分かるだろうか。まだカキの実は残っている。
ツキノワグマは、おそらく2頭が映っている。子グマとその母親。子グマはかなり大きく見えるが、おそらく今年生まれの0才獣。もしかしたら子グマはもう1頭いるかもしれない。
最初のシーン。左上に母グマが登っている。もう一頭の子グマが下から登ってくる。それを迎えるように既に登っている母グマが降りていく様子。
二つ目のシーン。先ほどから約3分後。中央やや右下で子グマが枝を引き寄せている。左やや上では、母グマがいる。よく見えないが、後半に木が大きく揺れシルエットが浮かび出てくる。
三つ目のシーン。先ほどの終了時から約45秒後。2回ほど枝を折る大きな音が聞こえる。母熊がこちらを向き、目が光りはっきりと形が分かる。下の子グマのほうへ移動しようとする。
四つ目のシーン。先ほどの終了時から約50秒後。下の子グマが木を降りる。左上にいる母グマが枝を折り、やがて木を降りていく。
五つ目のシーン。先ほどの終了時から約1分45秒後。母グマがほんの少しだけセンサーカメラの前で映っている。
下から登ってきた子グマを出迎えている個体は、あとではっきり映っている母グマの大きさより小さく見える。もしかすると2頭の子グマがいる可能性もあると思う。
カキの木には、しっかり爪あとが残っている。
但馬地域のツキノワグマは、人里近くで生活しているものが多く、集落周辺のカキの実を普通の餌として利用している個体も多い。近年はドングリ類の豊凶に関係なくカキの実が食害される地域も増えている。7月下旬の青い小さなカキの実のうちから食べられる地域もある。
今年の秋は、ドングリ類もそこそこ実が付いている。しかし、集落慣れした個体はカキも普通の餌として利用している。ドングリやクリが凶作でもないのに、お母さんと一緒に集落のカキの実を食べた子グマは、集落を普通の餌場と認識するようになると思う。