クロダイ スズキ目 タイ科
クロダイはチヌとも呼ばれるタイの仲間です。チヌの名称で聞かれた方のほうが多いかもしれません。釣り人にもなじみの深い魚でして、大きなものでは60センチを超えることがあります。海だけでなく河川の汽水域や純淡水域にも入ってきます。このように本来は海水魚であるが、河川にも遡ってくる魚のことを魚類学では「周縁性淡水魚」と呼びます。ボラやスズキなども周縁性淡水魚です。 クロダイは性転換をする魚として知られており、成長するにしたがって、性的未分化（オス・メスどちらでもない）→雌雄同体→オス→メス（オスのままのものもいる）と変わっていきます。食性は雑食性の強い肉食魚でして、甲殻類や貝類などの小動物や海藻なども食べます。釣りで手にされた方はご存知かと思いますが、クロダイの口には頑丈な歯があり、これで貝を噛み砕いて食べることがあります。
豊岡市竹野町で撮影。警戒心が強いですが、逆に好奇心もある魚です。海中に潜った時、底の砂を手で舞い上げると、近くにいたクロダイが食べ物を探しに近づいてくることがあります。この写真の個体はカメラ目線になってくれました。
香美町香住区で撮影。これらはいずれも水深2～3mで撮影したものでして、このような浅い水域にも現れます。
写真・文 コウノトリ市民研究所 北垣和也
