県立コウノトリの郷公園内のサクラバハンノキ林では、今年もミドリシジミの活動時期を迎えています。
オスは翅を広げると青や緑の金属光沢を放ち、小さいながら非常に美しいチョウです。その美しさから、多くの採集者に狙われ続ける運命を背負っていますが、この園内での採集は禁止されていますので、ミドリシジミも安心です。
メスはオスのような金属光沢を持たず、淡い紫系の翅色をしています。メスはいくつかのタイプが知られており、表の翅模様で区分しています。
夕方、メスが枝を歩き回りながら、尾を押し付ける行動をしているのを目撃しました。産卵です。
翌日、現場でサンプリングしてきたミドリシジミの卵を、実体顕微鏡で観察してみました。小さな、白い、バフンウニといった形状をしています。
卵はこのまま夏、秋、冬の長い季節を過ごしたあと、翌年の春に幼虫が孵化し、初夏のこの時期に成虫となります。毎年繰り返される小さな命のサイクルです。
写真・文:コウノトリ市民研究所 高橋 信