アカテガニ 十脚目 ベンケイガニ科
城崎温泉や玄武洞の周辺の円山川の川岸を歩くと、このカニをよく見かけます。名前のとおり、手(ハサミ)が赤いカニです。川から少し離れた畑や山の中でも見ることがあります。アカテガニは海岸や川の下流域周辺などの陸地に生息しています。カニなので鰓で呼吸をしているのですが、あまり水には入りません。少しの水があれば体内にためて、それを鰓呼吸に使うことができます。なので、長く陸上で暮らすことができます。
この写真のように、石の隙間や土に穴を掘って入っていることがあります。雑食性で、草の葉っぱや昆虫、動物の死がいなど、色んなものを食べます。
一枚目の写真と違って、このように全身赤い個体もいます。ベンケイガニという、赤くてよく似ている種類がいますが、甲羅の縁の形などで見分けることができます。
この個体は卵を抱えていました。昨年の8月に撮影したものです。産卵期は夏です。ふ化が近づくと、卵を抱えた親ガニは海岸に集まります。そして大潮の夜、海に浸かると卵がふ化して子ガニが海に泳ぎだします。この頃の子ガニはカニの形をしていません。ゾエア幼生と呼ばれ、大きさは1ミリほどです。海中を漂ってプランクトン生活をして脱皮をくりかえし、秋になるとカニの形になって上陸します。
雨上がり、川岸の草むらを歩くアカテガニ。昔は無数に歩いているのを見ましたが、近年はまばらにしか見かけません。全国的に減少しているようです。自然が豊かと思われる円山川周辺でも生息数が減りつつあるようです。
写真・文 コウノトリ市民研究所 北垣 和也