ヌメリツバタケ ハラタケ目タマバリタケ科ヌメリツバタケ属
滑鍔茸 (Mucidula mucida var asiatica)
8月の終わりに扇ノ山への登山道で、ブナの立枯木に白いキノコが見事に発生していた。
ヌメリツバタケ、名のとおり傘はヌメリを帯びている。傘の肉は薄く、光が透けて美しい。
図鑑を見ると、ヌメリツバタケと近縁でヌメリツバタケモドキという別種が記載されている。両者はよく似ているが、モドキのほうはヒダが著しく縮れており、互いに脈絡しているとのこと。今回出会ったものは、わりと縮れているものもあるし、脈絡も少し確認できる。ということは、ヌメリツバタケモドキの可能性もある。
ネットで調べてみると、ヌメリツバタケモドキとして激しく縮れた写真もあるし、それほどでもないものもモドキとして扱っているものも多数ある。ヌメリツバタケとモドキとのちゃんとした境目はあるのだろうかとの疑問を持ちながら、兵庫きのこグループの平山吉澄先生へこのキノコの分類について問い合わせてみた。
平山先生によると、「最近では、日本のヌメリツバタケとヌメリツバタケモドキは同一であるとされ、両方が交配し、中間の個体も存在する。ヨーロッパ産のヌメリツバタケと違うので日本産にはMucidula mucida var asiaticaと区別されるようになった。日本産は、全てヌメリツバタケとするようになってきている。」とのこと。
最近は遺伝子レベルでの分類が進み、図鑑やネットに記載されている分類は古くて追いついていないことが多い。本種もキシメジ科ツエタケ属と分類されている場合が多いが、最新ではタマバリタケ科ヌメリツバタケ属となっている。
夏の終わりから秋にかけて、ブナ、その他広葉樹の枯木に発生、傘の径は3~8cm程度。食用としても優秀らしいが、老菌化が早く、今回のものもやや遅かったため収穫はしなかった。