クサギ
クサギというのは「臭(くさ)い木」という意味です。葉をちぎると大変くさいにおいがします。ちぎらなくても近づくだけでも結構においます。クサギという名前に納得(なっとく)です。
この嫌(いや)なにおいは、虫たちの食欲(しょくよく)をなくさせるためのものです。効果抜群(ばつぐん)で、この植物の葉を食べる虫はほとんどいません。でも人間には効果がないようで、若(わか)い葉をゆでで食べてしまいます。
葉はくさいクサギですが、花の時期は、さわやかな香(かお)りをただよわせます。葉は食べられたくないので、虫の嫌(いや)がるにおいを出しますが、花の方は逆に虫に来てほしいので、誘(さそ)うためのよい香りを出します。
クサギはおしべの花粉をめしべに運んでもらって、種子を作ります。満開のクサギの花の下は甘(あま)いよい香りがします。この香りに誘われて、チョウの仲間がよくやって来ます。
やって来たチョウは、おしべの花粉を別の花に運びます。
自分の花粉を受け取らないように、クサギの花は、雄(おす)から雌(めす)へと性転換(せいてんかん)をします。めしべを見れば雌雄(しゆう)が分かります。赤い○がめしべです。
花が咲(さ)き始めた頃(ころ)は、めしべが後ろに大きく曲がっています。めしべに自分の花粉がつかないようにしているのです。雄の時期の花です。おしべの先に花粉が出てきているのが分かると思います。花はやがて雌になります。後ろに曲がっていためしべが前に突(つ)き出てきます。花粉は出なくなり、めしべは他の花の花粉をくっつけます。