マコモ イネ科
水辺の大型植物というとヨシが有名ですが、マコモというイネに似た植物もあります。マコモも2m近い大きさになります。マコモはヨシよりも水深の深いところに多く、ヨシに比べて泥(どろ)が多くて風の影響(えいきょう)の少ないところに生えます。
アメリカに生えているよく似た種類の実は、ワイルドライスと呼(よ)ばれて食用に用いられています。マコモの実も食べられますが、一度に熟(じゅく)さないくせに熟するとすぐに下に落ちてしまうので、まとまった量を収穫(しゅうかく)することが難(むずか)しく、今では利用されていません。
マコモタケという食材がありますが、これはマコモの茎(くき)に黒穂菌(くろほきん)が寄生することにより肥大化した新芽のことです。タケノコのような食感があり、おいしいものです。かつてひどい湿田(しつでん)のために米作りが困難(こんなん)だった頃(ころ)、豊岡で生産を試みたがうまくいかなかったという話を聞いたことがあります。
マコモは、泥の中を地下茎(ちかけい)を伸(の)ばして広がります。水深が深い時は、地下茎は土の中に潜(もぐ)らず水中を伸びます。夏から秋にかけてマコモは太陽の光を浴びて、せっせとこの地下茎を太らせます。11月にもなると地上部は枯(か)れてしまい、春まで地下茎は眠(ねむ)ります。春になると地下茎から新芽が出て、蓄(たくわ)えていた栄養分を使って一気に成長します。
冬の時期のマコモの地下茎は、栄養満タン状態になっています。これを食べる生きものがいます。ハクチョウなどの水鳥です。ハクチョウのためにわざわざマコモを植えているところもあります。
豊岡市を中心に行われている水田の冬季湛水(たんすい)が広がれば、今は少数しか飛来しないハクチョウが多く滞在(たいざい)するようになります。その時にはマコモの出番を作ってあげようと思っています。