キビシロタンポポ
キビは、漢字では吉備です。吉備は大昔の岡山県のことです。
名前の通り岡山県で見つかった白いタンポポです。
兵庫県とは無関係なタンポポだと思われていましたが、1995年に出版された『人里の自然』という本には「比較的(ひかくてき)多いのは中国地方中部から兵庫県にかけての山間部の盆地で、・・・」と書かれていて驚(おど)きました。この本の著者(ちょしゃ)は愛知県の方で、当時、兵庫県では誰(だれ)もキビシロタンポポを知りませんでした。以後、私たちを中心に調査が行われましたが、2004年まで発見されませんでした。
2005年に近畿圏(きんきけん)一斉(いっせい)タンポポ調査が行われることになり、2004年に予備調査が行われました。その時になにやら怪(あや)しい白いタンポポがあるということで旧美方町と旧温泉町から各1点の報告がありました。それが兵庫県で初めて確認(かくにん)されたキビシロタンポポでした。
翌年(よくねん)の調査で旧村岡町、旧美方町、旧温泉町にはシロバナタンポポの方が少なく、キビシロタンポポが広く分布することが分かりました。また、1点だけ離(はな)れて朝来市でも発見されました。
朝来市のものは、花びらが純白(じゅんぱく)ではなくわずかに黄色を帯びていて、シロバナタンポポではないことが分かりました。しかし、他の場所ものは純白で、花の終わった後で花茎(かけい)が伸(の)びない点を除(のぞ)くとシロバナタンポポとの区別が難しいです。
まだどこにあるのかさえよく分かっていないタンポポです。